希望と絶望の臨界点――蒼きロックバンドが描く「新世界」とは?

​21g
『一人芝居ハニー』

ROJR-0050 定価 ¥1,500+税
2015.12.9 リリース
 
                         
mu-mo
  • 1. ヨツヤタリ・ハニーバニー
  • 2. ジエンド
  • 3. 果て、何をしようか
  • 4. セブンティンブルウ
  • 5. 尺取虫
  • 6. 週末ロードショー
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ディスクレヴュー

いざ、カオスの果てへ。若き精鋭が描く戦慄のロック絵図

鳴った瞬間に目の前を魂の事件現場に変えてしまう、“ヨツヤタリ・ハニーバニー”の鋭利なリフと田中HAIDI(Vo・G)のミステリアスな絶唱。《健全な精神は 劣等の末に地におちたさ/嫌な事ばっかりだ!/前を見つめようが どうしようもなく背中に張り付く/悪鬼諸々 心を喰らって い た》と赤黒く渦巻くスリリングなイメージとともに“ジエンド”で描き出した戦慄の音風景。昭和歌謡ブルースを紅蓮の歌とロックで2010年代に燃え上がらせるような“セブンティンブルウ”。「ロックと書いて煩悶と読む」とでも言うべき衝動逆噴射感に満ちた歌詞から、怒濤のダイナミズムと生命力が噴き上がる――「共感」や「共鳴」のツールとしてではなく「心を掻き乱す凶器」としての圧倒的なロックを求めている人に、この21gというバンドの最新ミニアルバム『一人芝居ハニー』は真っ向から応えてくれるはずだ。

上記の説明からはかなりの長いキャリアを持つ玄人集団のような印象を受けるかもしれないが、ロッキング・オン主催のアマチュア・アーティスト・コンテスト「RO69JACK14/15」で優勝を飾った2014年末の時点で、21gは活動開始からわずか半年(詞曲を担当する田中HAIDIとベース:大森イッペイは当時高校生)だった。シリアスな緊迫感に満ちた21gの音楽世界が、聴く者を泥沼へ誘うヘヴィネスではなく、あくまで狂騒的な躍動感に満ちているのは、心の闇や陰に迷うことなく手を伸ばす蒼き探究心と、「深い森の先で迷ってしまったら出口は自分で作ってしまえばいい」とでも言うべき飽くなき冒険心ゆえだろう。ねじれて軋んだ時代の混沌を生きる自分たちは、まず己の歪みと向き合うべきだ、と聴く者に突きつけてくるような挑戦精神が、そのサウンドには力強く息づいている。

「私は結構、幸せではない歌を歌ってるんですけど、不幸の中にしか救いはないと思ってるんで。私と同じように自己嫌悪してる人に届いて、その人が少しでも救われたらいいなあって思ってます」。コンテスト入賞時のインタヴューで、田中は自身の表現哲学についてそんな言葉で語っていた。《もう悲しむ事に疲れたので/一尺 一尺 LALALA/愛した君の心を計っていたいのです》(“尺取虫”)……どこまでも獰猛で妖艶なロックの塊。その凄絶で美しい歌が時代に爪痕を残す瞬間を、ぜひともあなた自身が体感していただきたい。切に願う。(高橋智樹)

プロフィール

Vo&Gt:田中HAIDY
Gt&Cho:中村リョーマ
Ba:大森イッペイ
Dr:田上リュージュ

People In The Box、米津玄師、downy、そしてTHE BLUE HEARTSなど、影響を受けたアーティストこそバラバラながら、不思議な音楽的統一感を持つ千葉県出身のロックバンド。ボーカル&ギターの田中HAIDYが作詞・作曲を担当し、その世界をサウンド・エンジニア的な立ち位置からギターの中村が具現化する。孤独、葛藤、自我、居場所、嫌悪、嫉妬……心の奥深くに眠るハイティーンの闇を照らす田中の歌詞は、どこまでも赤裸々だからこそ、逆に生暖かい。そして4人が描き出すサウンドは、鋭く刺さるナイフのようでもあり、降り注ぐ慈愛の雨のようでもある。静と動、光と闇、希望と絶望……一見相反すると思われるふたつの要素は実は表裏一帯であることを彼らのロックは教えてくれる。

●ライブ情報
2016年1月20日 本八幡THE 3rd STAGE
release party「最初の晩餐」
出演:NOWEATER、ヘンショクリュウ、21g
OPEN 17:30 START 18:00
¥1,000+ワンドリンク

​21g 公式サイト http://yachacha05.wix.com/21ggggggg

ムービー

COUNTDOWN JAPAN 14/15出演映像
RO69JACK 14/15 ライヴ収録映像