丁寧に紡がれたビートの延長線上には、こんなにも自由な音楽があった。

Buckwheat
『ビートアーカイブ』

ROJR-0035 定価 ¥1,600+税
2014.8.6 リリース
 
                                
レコチョク mu-mo ドワンゴ
  • 1. クラフトアート
  • 2. virtualism
  • 3. 夜道と街灯
  • 4. リメンバー
  • 5. She Is Coming Back
  • 6. フィルム&ジャム
  • 7. 煙に巻かれて
  • 8. (Untitled)  (※この曲の試聴音源はありません)
  • 9. Around The Sun, Around The Moon, Around The Story, Around The World

ディスクレヴュー

ダンス・ロックもインディー・ポップも刷新する、自由闊達な探究心

「打ち込みと生のバンド・サウンドの同期」も「エレクトロ・テイストのダンス・ロック」も今や決して珍しくはないが、それをここまで自由に気負いなく、かつ高揚感とポップの真芯だけを鮮やかに射抜くようなやり方で実現しているバンドはそういない。昨年開催されたアマチュア・アーティスト・コンテスト「RO69JACK 2013」で見事優勝、『ROCK IN JAPAN FES. 2013』への出演を果たしている東京発の5人組=Buckwheat。7月9日にリリースされているコンピレーション盤『JACKMAN RECORDS COMPILATION ALBUM vol.9 RO69JACK 2013』収録曲“virtualism”でもすでに存分に感じさせていた彼らの類稀なるセンスが、初音源となる1stフルアルバム『ビートアーカイブ』にはさらに高純度に磨き上げられた形で結晶している。

同じ高校の同級生だった田村知之(Vo)、高橋慶(G)、紺藤大生(G)、酒井俊介(B)、上田寛之(Dr)の5人が大学進学を機に2012年4月に結成したBuckwheat。コンテスト優勝曲“virtualism”、フェス出演時に披露していた“夜道と街灯”“She Is coming Back”以外はすべてコンテスト後に制作したという今作の楽曲群は、タイトな打ち込みビートやEDM系サウンドを大胆にフィーチャーしながら、ラストを飾る“Around The Sun, Around The Moon,Around The Story, Around The World”のマッシヴなスケール感あふれる音風景まで、随所でハイパー&ハイブリッドなサウンドが弾け回る清冽な快盤だ。が、彼らが「エレクトロとロックの融合」という方法論を極めようとしているバンドかというと、決してそうではない。先日『ROCKIN'ON JAPAN』誌でインタビューした際にも、田村は「エレクトロの要素を前面に出すつもりは俺はなくて。『何でも取り入れる』っていう過程のいちばん最初がエレクトロだった、ということで。どアコースティックな曲もやりたかったし。『バンド+エレクトロ』を狙ったっていうよりは、『バンドにいろんなものを取り込める体制』ができて、それを試した一発目がエレクトロだった」と語っていたが、洋楽インディー・ポップのような風通しのよさと、ルールに縛られない自由闊達なクリエイティビティが、今作にどこまでも爽快な躍動感を与えていることは間違いない。

ちなみに、Buckwheatが「RO69JACK 2013」で優勝した時のプロフィールページでは、彼らは自らを「博打打ちバンド」と紹介している(http://jack.ro69.jp/contest/jack2013/artist/24882)。それは彼らが、最初から「2年以内に一般公募枠でフェスに出よう」「フェスに出たら解散しよう」という目標を掲げて活動をスタートさせたバンドだったからだ。「高校卒業の時から思ってたんですけど、ダラダラやってもしょうがないから、目標を立てようと。で、そのために活動して散っていこうと(笑)。自分たちの曲が劣ってるとは全然思ってなかったんですけど、すごい数のバンドがいる中で『フェスに出たい』っていう目標を叶えるためには、もっと差別化しないとダメじゃないかって」と田村はその舞台裏をぶっちゃけて語っていたが、「少しでも他のバンドより目立ちたい」という想いが、彼らの場合はウケ狙いのイロモノや飛び道具的ギミックの導入ではなく、バンドとしての純音楽的な進化につながっているのが興味深い。

そして――コンテスト優勝&フェス出演という目標を達成した後も、彼らは解散ではなく、抑え難く沸き立つ表現欲求のすべてを注ぎ込んでアルバムを作り上げ、その先へ進むことを選んだ。若い5人の「通過点」のドキュメントであると同時に、無限の可能性を秘めたバンドの「これから」へのあまりに鮮烈な予告編でもある今作『ビートアーカイブ』の輝きに、ぜひとも触れてみてほしい。(高橋智樹)

プロフィール

Vo&Gt:田村 知之
Gt:高橋 慶
Gt:紺藤 大生
Ba:酒井 俊介
Ds:上田 寛之
2012年4月結成。全員が同じ千葉の高校の同級生で、現在大学在学中の5人組。同期、サンプラー、シンセを駆使し、ギター・ベース・ドラムに捉われない音像作りを得意とするエレクトロ・ダンスロック・バンド。下北沢、渋谷を中心に活動している。 2013年7月、「RO69JACK 2013」で優勝を勝ち取り、8月にROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013のWING TENTにトップバッターとして出演。堂々のパフォーマンスで、フェス会場を一気にダンスフロアへとヒートアップさせた。
Buckwheat 公式サイト http://buckwheat.jimdo.com/

ムービー

ROCK IN JAPAN 2013出演映像
RO69JACK 2013 ライヴ収録映像