鳴った瞬間に、どこだかわからないところに連れていかれます。 兵庫慎司 (ロッキング・オン/RO69)

パンパンの塔
『音楽は止まった』

ROJR-0025 定価 ¥1,500+税
2012.12.5 リリース
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  • 1. パレード
  • 2. まんまるお月様
  • 3. 音楽は止まった
  • 4. 空色
  • 5. どうでもテレフォン
  • 6. 流水
  • 7. 骨

ディスクレヴュー

あらぬところへ連れていかれます

聴き手のアタマをトバす、意識をあらぬところへもっていく、今のこことは異なる世界に連れていく。トリップ・ミュージック、というと言葉がダサいが、音楽は、一瞬にしてそういうことができる場合がある。そういう音楽って、トランスとかテクノとかレゲエとか、ノイズとかハードコアだったりすることが多い気がするが、歌もののロックでも、中にはそういうものもある。ただ、歌もののロックにおけるそういう音楽で、アコースティック・ギターを使ったりするようなもの、曲作りの根本が弾き語りであるようなもの、というのは、極めて少ない。べつに少なくたっていいし、何も悪いことではないが、ただ、事実として、そう思う。
前置きが長くなったが、パンパンの塔の音楽は、その極めて少ない例のひとつだと僕は思う。どれくらい極めて少ないか、前にそういうものを聴いた記憶はないか、自分の中の音楽体験を総ざらえしてみたら、「スピッツ」という答えになった。僕がスピッツを初めて聴いたのはメジャー・デビューの時だから1991年、ということは21年ぶりなのか、新しいこういう音楽に触れたのは。パンパンの塔、スピッツとまったく似ていません。ただ、「アタマをトバす」という意味において共通項がある、というだけです。同じように、トランスなんかとも共通項があると思う。ただ、トランスがリズムでアタマをトバすのに対し、パンパンの塔は言葉とメロディで壮大な物語を描くことでアタマをトバす、という違いはあるが。ラップと朗読と歌の間を自在に行き来しながら言葉を紡ぐまめ(vo&g)、この人の頭の中には常に膨大な量の物語が溢れている感じがする。「歌にした」とか「歌詞を書いた」というよりも、「歌になって出てきちゃった」という言い方がしっくりするような。
あと、アコースティック・ギターにぶつけるものとしては本来明らかに不釣合いな複雑なビートによって、そのトリップ感を加速させるリズム隊も優れている。たとえばアコギ+ブレイクビーツ、というのは大昔にベックがやって以降、いろんな人が実現しているけど、パンパンの塔は、それとも違うアプローチだ。かなり新鮮です。(兵庫慎司)

プロフィール

Vo/Gt:まめ
Ds:藤田"フジッコ"亮
Ba:森内ベース (from オーガストインディアン)
前のバンドでギタリストとして活動していたまめ(vo&g)が、解散後、ひとりで弾き語りによるライヴ活動をスタート。ライヴを重ねるうちに「バンドにしたら?」という周囲のすすめもあり、藤田"フジッコ"亮(ds)と新田パン(b)が合流、結成(2010年11月22日)。当初は「まめバンド」と名乗っていたが、これまた周囲の「バンド名付けたら?」というすすめもあり、自分たちの"骨"という曲の中のフレーズからとって「パンパンの塔」になる。2011年暮の「RO69JACK 11/12」の優勝アーティストに選ばれ、COUNTDOWN JAPAN 11/12に出演。2012年5月、新田パンが脱退、サポートで森内ベース(fromオーガストインディアン)が加わり、現在の編成になる。2012年12月5日、初めてのCDであるミニアルバム『音楽は止まった』を、JACKMAN RECORDSからリリース。池袋adm、新宿marble、新宿ロフト、下北沢GARDENなどを中心に、精力的に活動中。
パンパンの塔 公式サイト http://panpannotou.net/

ムービー

COUNTDOWN JAPAN 11/12出演映像
RO69JACK 11/12 ライヴ収録映像

パンパンの塔『音楽は止まった』リリース・インタヴュー








パンパンの塔

L→R
森内ベース (from オーガストインディアン)(Ba)
まめ(Vo/Gt)
藤田"フジッコ"亮(Ds)
パンパンの塔『音楽は止まった』リリース・インタヴュー

歌詞はバアッて一気に書いて、自分じゃ予想してない方向に行ったのが多いですね。それが楽しい。

──言いたいことがありまくりですよね。すごい言葉数で。

まめ(Vo/Gt) やり始めた時はそんなに言葉数も多くはなかったんですけど。歌っていくうちに歌詞がどんどん増えてきて、今みたいなスタイルになったって感じですね。

──聴く音楽もそういうものが多いんですか。

まめ そうですね。ラップとか、ヒップホップみたいな曲とか、そういうのも好きで。1回やってみっかと思って作ったら、いい具合にやれて、それで味をしめて。

──サウンドも凝っていて。アコギの曲につくリズムじゃないですよね、普通もっとシンプルにしますよね。

藤田“フジッコ”亮(Dr) 言葉が多くて、メロディにノリがあるように感じたんで。アコギのバックというよりは、メロディにリズムを合わせるとああいう感じになったというか(笑)。自然に作ってますけど、自然に作るとあんな感じになっちゃうっていうか。

──森内さんはこのアルバムのレコーディング直前の加入ですけれど、いきなり爆発してますね。

森内ベース (from オーガストインディアン)(Ba) わからないって言うとあれなんですけど…スタジオに入って弾いたらああなっちゃったっていうことが何ヵ月も続いている感じなんで。このメンバーと一緒にやるとこうなるっていうことなのかな?

──当初から考えていたような作品になりましたか。

まめ この3人になってから間もなかったんで、アレンジとかはすごく苦労しましたけど。でも、僕ら以外の人の助けも借りて、いろんな意見をもらいつつ。だから当初思っていたものより全然いいものになったなと思ってます。

──どんな手助けをしてもらったんですか。

まめ 最初は10曲ぐらいあったんですけど、それを僕らがよく出ているライヴハウスの店長さんに聴かせたら、「ちょっと、これだと誤解されかねない?」みたいなことを言われて(笑)。そこで、聴きやすい音楽というか、口ずさめるキャッチーなものとか、いろいろノウハウを教えてもらいまして。

──でも、それだけ整理整頓しても、あの濃さですもんね。

まめ 濃いですね。はい。

藤田 その時は、メロディとかのアドバイスではなくて、アレンジ・構成とかのアドバイスをもらったんですよ。ここでサビを最初に持ってくると聴きやすいよ、とか。それでだいぶ曲がギュッとシンプルにもなったし、聴きやすくもなったんですよ。

まめ だから軽くなったとかいうのはなくて、わかりやすくさせるための作業という感じでした。根本にあるものは、もう出来あがっていて。

──完成してみて、自分たちなりの手応えはいかがですか。

藤田 やっぱヴォーカルスタイルが一番おもしろい部分かなと思いますね。言葉数多いし。

まめ なんか景色が浮かんでくるみたいな、そういう言葉だったり、音だったり。

──歌詞を書き始めるときはストーリーの結論まで決まっているものなんですか。

まめ 歌詞はバアッて一気に書いて、自分じゃ予想してない方向に行ったなっていうのが多いですね。それが楽しいというか。

──メロディがあったりなかったりしますけれど、コードとか構成とかが先ですか、それとも言葉が先?

まめ 曲によりますね。“骨”みたいなやつは、完全に歌詞からですね。なんか夢を見て、それをバアッて書いて(笑)、で、コードを適当につけて作ったやつですけども。“まんまるお月様”とか“音楽は止まった”とかはメロから作ってやりましたね。最近の曲はわりとバンドメンバーと一緒にそのあとの構成とか考えたりとか、僕が持っていったものを渡して一緒に書いてもらったりとかしてるんで。まあ“骨”とか“パレード”みたいな歌詞が一気に書いてある曲とかはメンバーも変えづらいってところはあると思うんですけど。

藤田 変えづらいっていうか、そのまんま行ったほうがおもしろいし、物語に沿って音をつけていったほうがたぶんおもしろいなと思って、そのまんま。特に“骨”はそういう感じで作っていて。“骨”はレコーディングしたときも一発録りです。3人で歌も演奏も全部一発録り。

──それ、すごいですね。

藤田 それが結構うまくいったんですよ。まあ、クリックに合わせるっていうのができない曲だったんで、試しにやってみたらかなりおもしろい感じになったんで。

──しかし、アコギ弾きながらラップのパートがあるというのも面白いですね。

まめ なんかちょっとかけ離れたものをやろうとは思っていて。で、自分が聴いてた音楽にヒップホップとかがあったんで、そしたらああいう言葉が出てきて。ただ、そこまでラッパーっていう意識は無いんですよ。歌を歌いたいっていうか。ラッパーだと歌わないじゃないですか。パンパンの塔の曲は、ラップをやる中で歌も挟んでいて。昔はお客さんもいなかったし、観てくれる人も全然いなかったから、とにかく目立ちたいというか人の目を引きたいなと思って、いろいろ考えて、ああいう感じになったんですね。ライヴハウスに来た人が、ああいう“骨”みたいな曲とかがフッて耳入ったら、「なんだなんだ?」ってなるかなとか思いながら作ってました。

──対バンとか、いい組み合わせが見つからなくて困ったりしませんか。

まめ ああ。ライヴハウスの人が困ってた。

藤田 どこのジャンルに突っ込めばいいのかわかんないってよく言われて。確かになぁと思って(笑)。自分ら的にもこの対バンの人たちがいいとかっていうのもなくて。いまだに困りますけどね。

まめ まあ、でもそこがカウンターというか。そういう人たちをびっくりさせたい、そういうのを聴き慣れた人をびっくりさせたいっていうのがあるから。

森内 やっぱりアコギの3ピースがライヴでセッティングしてたら、まあ僕がはじめてまめくんの弾き語りを観たときみたいに「ああ、3人組で、アコギヴォーカルね」ってなんとなくイメージすると思うんですけれど、実は普通のアコギのバンドじゃないっていう、そこは出していきたいっていうのはありますね。レコーディングして、更にこれはおもしろいって思い始めているので。やっぱり、観てる人の期待を裏切るというか、他とは違うよっていうものは意識してやりたいですね。

藤田 僕は、たとえば3ピースだったら、各々が目立ってるバンドがやっぱり好きで。ヴォーカルだけではなくて、ドラム、ベースも際立っていて、3人ともファンがついてるようなバンドをやりたかったんで。たぶんそういうのもあって、アコギ弾き語りの人と合わせる場合でも、ドラムもちょっとおもしろいことやりたいみたいな気持ちもあって、今の形になってるのかもしれないです。